学校の授業だけで医学部に合格するのが難しい3つの理由
高校の授業の進行ペースは学校によって違いますが、一般的な公立高の場合、高校3年の秋頃に全ての授業が終わります。しかし、それでは受験に到底間に合いません。その理由は以下の3つがあるからです。
・医学部入試は高い学力が求められるため
・難関医学部は問題のレベルが非常に高い
私立や中高一貫校との授業ペースの違いや学力、難関医学部の試験問題のレベルなどがネックになります。一般的なレベルの公立校の場合、学校の授業のみでは合格がほぼ不可能といえるでしょう。それぞれ具体的に解説しますが、子供を本気で合格させたいなら覚悟が必要です。
授業の進度に合わせた学習をしてしまうと受験対策に遅れが生じる
私立高や中高一貫校、地域トップレベルの進学校などは、高校2年の段階で全範囲が終わるように授業を進めます。高校3年になると、進学と同時に受験スタートです。各々が志望校の合格へ向けて学習し、入試に向けて頑張るのです。この点が公立高との大きな違いと言えるでしょう。
一方で、常の公立高は授業ペースが遅く、冒頭で触れたように全範囲が終わるのは高校3年の秋頃です。私立高などと比べて1年近くペースが遅いため、受験対策に大幅な遅れが生じます。当然ながら学力にも差がつくため、ライバルに出し抜かれてしまうでしょう。
その遅れを取り戻すためには、本人にしっかり勉強させなくてはいけません。難しい場合は、塾か予備校へ通わせたほうがよいでしょう。いずれにしても、授業ペースの違いを何らかの形で補う必要があります。
学校の授業が受験対策の役にほとんど立たない
一般的な公立高の授業は、あくまでも基本的な部分を履修するのみです。その分野を深く掘り下げたり、応用まで徹底して教えることはめったにありません。しかし、医学部の試験は特定分野の深い知識や、応用問題を解く学力が求められます。つまり学校の授業がほとんど役に立たないのです。
特に英数理の3教科は難易度が高く、偏差値の高い大学医学部ほど難問が出題される傾向にあります。高度な知識が求められる問題も多いため、学校の授業レベルの知識では太刀打ちできません。授業以外での勉強が必須といってよいでしょう。
なお、英数理は得点の配分比率が高い医学部もありますので、点を落とせない重要科目です。これらが苦手な子供をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、この3教科を徹底して学習できる環境を整えてあげましょう。
問題や科目によっては教師側が上手く教えられない可能性もある
医学部の入試で出題される問題はいずれも難易度が高めです。しかし、問題によっては高校の教師ですら解くのが難しい場合もあります。このため、教師側が子供に解くコツを教えてくれなかったり、間違った説明を行う可能性も否定できないのです。
特に上位の難関医学部となると、医学部予備校の講師でさえ解くのに時間がかかる問題も出題されます。高校の教師のレベル次第では、問題そのものが理解できない場合もあります。しかし、そのような難問も出題されるのが医学部です。当然ながら、高校の授業レベルの学力では太刀打ちできないのです。
学校によっては授業だけでも医学部合格が可能!
ただし、学校の授業のみで医学部が合格圏内に入るパターンもあります。それに該当するのが中高一貫校や、地域でトップレベルの進学校・名門校などです。学校の授業のみで合格可能な理由は、次の4つの点で有利だからです。
・優秀な生徒が多く、医学部志望も一定数いる(学校側も受験ノウハウを持っている)
・進学指導の実績が豊富なため、面接や小論文の対策や添削ができる教師もいる
・医学部受験に特化した校内模試を受けられる
上でも触れたとおり、中高一貫校などは授業ペースが早く、高校3年は全時間を受験に費やせます。成績優秀な生徒もたくさんいますし、医学部志望者が一定数いるのも強みです。それに伴い、学校や教師も医学部の受験ノウハウを有しています。
進学実績も多く、面接・小論文の対策ができることも理由です。一般的な公立高とは違い、さまざまなアドバイスを受けられます。教師の経験次第は、予備校と同水準の対策が可能です。
医学部に特化した校内模試を受けられる点も理由として挙げられます。こちらは希望者のみですが、現在の学力を知ることができるのは強みです。自分の学力を把握すれば、学習計画を立てる際に役立ちます。
中高一貫校や進学校であれば、授業のみで合格することも難しくありません。本人の努力も必要ですが、一般的な公立高よりも有利になるでしょう。
まとめ
学校の授業のみで医学部合格できるかという疑問について、要点をまとめます。
・授業ペースが遅く、受験対策に遅れが生じる
・医学部の問題の難易度が高く、教師ですら解けない場合もあるから
・中高一貫校やハイレベルの進学校は授業のみでも合格を目指せる
子供を公立高へ通わせている方は、学校の授業のみで合格を目指すのは困難と考えておきましょう。本人の努力も欠かせませんが、親としても何らかの支援や工夫が必要です。